[目次]
序 章 トマス・ハーディの文学と二人の妻
第一章 作家ハーディの誕生─最初の妻エマ・ラヴィーニア・ギフォード
運命の出会い
「階級」と「ジェンダー」をあぶりだす─『青い瞳』(1873)
ひそやかに挙げられた結婚式
第二章 農村と都会─ドーセットとロンドン
「帰郷」の意味を問う─『帰郷』(1878)
ロンドン生活
ドーチェスターへ─ウエセックス・ノヴェルズへの道
エッセイ「ドーセットシャの労働者」(1883)
新旧世界対立のドラマ─『カースタブリッジの町長』(1886)
第三章 田舎屋(コテジ)から邸宅へ─マックス・ゲイトに移り住む
マックス・ゲイトへ
ダーウィニズムから読む─『森に住む人々』(1887)の世界
1887年頃の夫妻
第四章 ヴィクトリア朝の「女」の言説を覆す─『ダーバヴィル家のテス』(1891)
題名の意味
「清純な女」とは何か
「ありのままに」とは─グランディズムとの戦い
エマの立場─深まる亀裂
第五章 ヴィクトリア朝の価値観を斬る│『日陰者ジュード』(1896)
『日陰者ジュード』の背景─ヘニカー夫人との友情
短編「夢みる女」・合作“The Spectre of the Real”・ヘニカー夫人との関連詩
『日陰者ジュード』の衝撃─宗教・階級・教育・結婚の諸制度を問い直す
第六章 小説家から詩人へ
詩人ハーディの挑戦─『ウエセックス詩集』(1898)
『ウエセックス詩集』の受容とその後
エマの不満─「信仰」「階級」「ジェンダー」をめぐって
エマの反撃─「自分だけの部屋」への道
第七章 フローレンス・エミリー・ダグデイルの登場
出会い
三人それぞれの「皮肉な状況」─『人間状況の風刺』 (1914)
エマへの挽歌“Poems of 1912–13” ほか
第八章 トマス・ハーディ晩年の成果とフローレンス・ハーディの栄光と苦悩
トマス・ハーディの反戦詩
ハーディの思想詩─人生の「真の哲学」をもとめて
フローレンスの栄光と苦悩│タイピスト・秘書・家政婦・看護師そして妻として
『ハーディ伝』の秘密とフローレンスの反撃 348
終 章 トマス・ハーディと二人の妻が遺したもの